海外展示会の「失敗事例TOP3」

2025.11.09 14:24

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海外展示会への出展は、多くのステップがありますが、会期前の準備でつまずくと、当日の努力がすべて無駄になってしまいます。

今回は、私が展示会主催者からヒアリングした、実際に起こった「会期前の失敗事例」を、3つご紹介します。

失敗事例 1

輸送業者の手配ミスによる「展示品の差し止め」

「展示品は搬入日の朝に届く」という約束が、当日、ブースに展示品がどこにもない事態に。

原因は、輸送業者への依頼時、通関書類(ATAカルネなど)の準備・確認が不十分であったこと。

結果として、展示品は港で差し止められ、会期中盤までブースは空の状態となってしまいました。

ポイント

「確実性」を評価基準とするパートナー選定の重要性

海外の輸送、特にEU圏外からの輸入には、通関書類の正確性が重要です。
輸送業者の選定をコストで判断すると、「展示品が届かない」というリスクがあります。

  • 会期前の対策:

    • 専門性の評価:
      海外展示会での実績が豊富で、通関サポートまでを一括で請け負う業者を、
      過去のトラブル対応実績とともに客観的に評価すること。

       

    • ダブルチェック:
      契約時に、通関書類のチェック体制と、緊急時の現地担当者の連絡先を明確にしておくこと。

失敗事例 2

規定違反によるブースの強制修正

日本のデザイナーが作成した図面通りにブースを設営していたところ、会場の監督官から緊急ストップ

「この壁材は難燃性の証明がない」「この装飾は避難経路を塞いでいる」と指摘され、
設営途中の壁の急遽、現地で削り取る事態が発生しました。

ポイント

デザインより「法規制適合」の許可取得

欧州各国では、消防法や建築規定が日本より厳格です。
日本の基準で作成されたデザインや使用素材が、そのまま通用しない場合があります。
この事前検証を怠ると、高額な追加費用と時間のロスが発生します。

  • 会期前の対策:

    • 業者選定:
      ブース設営業者を選定する際、現地の法規制を熟知しているかを、
      過去の法規制適合実績とともに確認すること。
       

    • 図面レビュー:
      契約前に、現地の全規定をクリアできるかを業者に書面でレビューさせ、
      不適合箇所を事前に修正を完了させておくこと。

失敗事例 3

ローカライズ不足

ブースでは、日本のカタログをそのまま英語に翻訳した資料を配布し、
ウェブサイトも日本語版の隅に英語訳のページを置いて対応しました。

結果、来場者は製品が自分たちの市場に合っているかを判断できず、
商談は
単なる情報収集で終了。会期後の問い合わせも低迷しました。

ポイント

言語だけでなく「文化への適応」が必須

欧州の来場者は、展示品が自国の商習慣、規格に適合しているかを瞬時に判断します。
単なる直訳や、ウェブサイトのローカライズ不足は、「この企業は当社に合わない」という印象を与え、商談が進展しません。

  • 会期前の対策:

    • ローカライズの徹底:
      カタログ、プレゼン資料、ブースの掲示物において、欧州の規格などに単位を合わせ、
      現地の商習慣に適した表現に修正を完了させておくこと。
       

    • 専用ウェブサイトの準備:
      展示会名や国名を冠した専用のランディングページを準備し、
      現地の問い合わせ窓口を明記した英語(または現地語)のウェブサイトを会期前に公開しておくこと。

これらの失敗事例からすべてを一度にクリアしていくことは大変に感じるかもしれませんが、
一つひとつ着実に解決していけば、当日は会期に専念ができます。

今回のブログがご出展のリスクを下げることできれば幸いです。

著者

Tu.sk Europe GmbH

タスクヨーロッパは、ドイツを拠点に、日本の企業が海外展示会に安心して出展できるようお手伝いしている会社です。企画から申請、ブースの設営までトータルでサポートし、ヨーロッパを中心に世界各地で実績を重ねています。