日本での常識が、海外では通用しないことはよくあります。
特にドイツは、独自の文化や慣習を非常に大切にする国です。
展示会でうっかりタブーを犯してしまい、
せっかくのビジネスチャンスを逃してしまった、なんてことにならないように、
今回は私たちが現地で学んだ「ドイツ展示会の3つのタブー」について、
背景にある文化的な考え方も含めて詳しくお話しします。
日本人同士であれば、初対面でも「どちらにお住まいですか?」「ご出身は?」
といった個人的な会話で場を和ませることがありますよね。
これは、共通点を見つけて信頼関係を築こうとする、日本の素晴らしい慣習です。
しかし、ドイツではこのアプローチは大きなタブーと見なされる可能性があります。
ドイツでは、「ビジネス」と「プライベート」が明確に区別されています。
彼らにとって、個人的な質問は「なぜ私のことを知りたいんだ?」と不信感を与えかねません。
特に、初対面で家族や趣味、年収といったプライベートな話題に触れるのは、
人によっては、失礼な行為と受け取られてしまいます。
【ドイツ流の教訓】
あくまでも「ビジネスの話題に徹する」のが鉄則です。
商談相手の個人的な情報については、相手から切り出されるまで触れないようにしましょう。
ドイツでは、信頼は時間をかけて築くものです。
仕事で成果を出し、何度も顔を合わせるうちに、自然と個人的な会話が生まれる関係を築くのが理想的です。
ドイツ人が時間に厳しいのは有名ですが、それは単に遅刻をしない、という話ではありません。
彼らは、時間を完璧に計画し、支配することを美徳としています。
アポイントメントは、その時間ぴったりに始め、ぴったりに終わらせる。
これは、彼らが時間に対して持つ強い責任感の表れです。
たとえ商談が白熱していても、次のアポイントメントがあるため、
時間通りに切り上げられます。これは無愛想なのではなく、
「時間の約束を守る」という彼らの文化なのです。
また、アポイントメントなしでブースを訪れるのは、
彼らの時間管理を乱す行為と見なされることもあります。
もちろん、多くの人が飛び込みの訪問を受け付けていますが、
事前にアポイントメントを取ることで、より丁寧で真剣な態度を示すことができます。
【ドイツ流の教訓】
アポイントメントは必ず事前に取ること。
そして、事前に決めた時間内で商談を終えられるよう、効率的に話を進めることが重要です。
無駄な前置きや回りくどい表現は避け、結論から話すことを心がけましょう。
これは、相手への敬意を示すことにもつながります。
日本では、名刺を両手で丁寧に渡し、受け取った後もじっくりと眺めて相手の情報を確認しますよね。
しかし、ドイツでは、名刺交換のスタイルはシンプルです。
片手でさっと渡すのが一般的で、受け取った名刺はサッと目を通し、すぐに名刺入れにしまいます。
これは、相手を軽んじているわけでは決してありません。
ドイツでは、ビジネスの本質は、名刺交換という行為ではなく、
その後の会話にあるという考え方があります。
名刺をじっくり眺めるよりも、相手の目を見て、熱意を持って話すことの方がよほど重要だと考えられています。
【ドイツ流の教訓】
名刺交換よりも、交換後の会話を大切にすることです。
もらった名刺はすぐにしまい、相手の目を見て、誠実さと自信を持って話しましょう。
そして、名刺の裏面にメモを取る習慣も、ドイツでは一般的ではありません。
相手の情報は頭の中で整理し、商談が終わってから改めてメモを取るのがスマートです。
このようにマナーだけでなく、その背景にある文化を理解することが、ドイツでのビジネス成功への近道になります。